Risa Sato さとうりさ

よくわからないけどすごい量感のものがすぐそばに居て、こちらをずっと見ている。

これは今年の6月、レジデンスプログラムの下見として曽爾村に初めて滞在した際、最も強く受けた印象だ。2泊3日の滞在を終え、自宅に戻っても私の頭のなかには山々の残像がくっきりとあった。人と山、その間に存在する“何か”を知りたい。

そのときの印象と、地図、写真をもとに制作した、曽爾村のオブジェ（およそ6500分の1縮尺）が、今回のレジデンスプログラムの土台になる。縮小され、生地を縫い合わせて制作された山々は、雄々しさを無くし、柔らかな起伏となった。

２週間のレジデンスでは曽爾村の人々の協力を得て、現在進行形の人と山との関係性を、このオブジェのなかに記していけたらと思っている。

作品のタイトル《いつもあなたを見ています》は、山々からの人々への言葉でもあり、人々から山々への言葉でもある。それに呼応するように、予定しているワークショップのタイトルは《わたしだって見ています》とした。この対になったタイトルが、村の人々の心の深いところにある山々との対話を浮き上がらせてくれるのではないかと妄想している。

（『AIRsoni2022アーティストレジデンス夏季プログラム成果展』フライヤーより）